ホーロー鍋の正しい使い方やお手入れ方法とその特性を生かした便利な使い道
ステンレスやテフロン加工の鍋に押されて最近では持っていない家庭もあるホーロー鍋ですが、実はいろんな使い道がある便利な鍋です。そこで、ホーロー鍋とはどういった鍋なのか、正しい使い方と間違った使い方、お手入れの方法、ちょっと便利な使い道について見ていきます。
ホーロー鍋の特性
ホーロー鍋の「ホーロー」は漢字では「琺瑯」と書きます。この素材は、鉄などの金属の表面にガラス質のうわぐすりをコーティングして高温で焼き付けたものです。その歴史は古く、ツタンカーメンの黄金マスクもホーロー加工されています。
鉄には強度がある一方で水分に弱いという弱点があります。一方、ガラスは水分を弾くことはできますが、衝撃に弱く壊れやすいという弱点があります。それがホーローになると、鉄とガラスの互いのデメリットを補いながら、強度と熱伝導に優れる鉄、光沢の美しさや耐食性に優れるガラスの双方の特性を生かして、耐久性と耐水性を兼ね備えた優れた素材になるのです。
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ホーロー鍋が得意な料理と苦手な料理
ホーロー鍋とはこうした特性を持つ調理器具なので、水を加えて加熱する料理に特に力を発揮します。加熱すると中の食材にムラなく熱を通すことができるので、煮込み料理がおいしく仕上がります。ほかにも、水分を多く含む料理なら幅広く活躍してくれる鍋です。
ただし、ホーロー鍋にも弱点はあります。ホーロー鍋をダメにするいちばんの原因は空焚きです。ガラスをコーティングした素材ですから、高温になるとガラスコーティングが剥がれてしまいます。ですので、炒め物にもホーロー鍋は適していません。鍋が高温になる揚げ物もNGです。最新のホーロー鍋のなかには炒め物や揚げ物もOKというものがありますが、それでも火力を抑えて使用する必要があります。基本的には水分を加熱して作る料理のための鍋と考え、炒める必要がある際は、別の調理器具に移すか弱火にするのが原則です。煮込み系の料理をおいしくすると聞くと、カレーの調理にも活躍できるのではと考えてしまいますが、以上の理由から肉や野菜を炒める段階では使用しない方がよいです。炒め物はフライパンでやってから、とろとろ煮込む段階でホーロー鍋に移して使うとよいでしょう。
ホーロー鍋のお手入れ方法
ホーロー鍋は鉄製とはいっても、表面のガラス質は温度変化や衝撃に弱いため、お手入れには気を遣う必要があります。高温にした状態で急に冷水につけるとガラス質がひび割れてしまいます。また、たわしや研磨剤で力を入れてガリガリ磨くと、簡単に表面が傷ついてしまいます。中性洗剤とスポンジで洗うことがお手入れの基本です。ガラス質の部分が欠けて金属が露出している部分がある場合は、錆びないようにサラダ油をその部分に塗っておくとよいでしょう。また、焦げやすいという欠点のあるホーロー鍋ですが、焦げを作ったときは、鍋に水を入れてからサラダ油数滴と重曹を入れて沸騰させてください。その後、火を止めて丸1日放置すると焦げが浮いてくるので、スポンジで拭取るように洗ってください。その際もごしごし擦るのではなく、一度で焦げが取れなければ、工程の最初から繰り返して丁寧にきれいにしていきましょう。
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無水調理もできる
ホーロー鍋のなかには無水調理に使えるものもあります。無水調理とは、ほとんど加水せずに食材の水分を蒸気に変えて作る料理のことですが、素材の水分を逃さないので栄養価や旨味もそのまま閉じ込めることが可能です。水分が少ないため加熱する時間も短くなり、素材の持つデリケートな栄養価を壊さない利点もあります。おいしくて栄養がある料理が短時間で作れるということで、今注目の調理方法です。
しかし、すべてのホーロー鍋で無水調理ができるとは限らないので注意してください。無水調理ができるのは、ストウブ、バーミキュラ、シャスールなどのホーロー鍋です。ちまたで人気のルクルーゼのホーロー鍋は無水調理に向いていません。というのも、無水調理をするには、鍋のなかの水分を逃さないように高い密封性が必要だからです。また、上記の3つのメーカーのホーロー鍋は、蓋の裏側がでこぼこの構造になっており、素材から蒸発した水分がそのでこぼこに当たって鍋の中に戻るようになっています。ルクルーゼのホーロー鍋はこのような構造になっていないため、無水調理は難しいです。無水調理に特に向いているのはストウブとバーミキュラの鍋です。
ご飯も炊ける
密封性の高い無水調理ができるホーロー鍋なら、ご飯もおいしく炊くことができます。もちもちのふっくらした仕上がりになるので、かまどで炊いたご飯のような味わいです。しかも、炊飯器より短時間で炊けるというメリットもあります。そのうえ、炊飯器で炊いたご飯より傷みにくいという良いことづくめですので、ぜひ一度お試しください。ホーロー鍋のなかには蓋が透明のガラスのものもあります。これなら中のご飯の炊け具合を確かめながら加熱できるので、焦げ付きを防ぐのに便利です。
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